2014年 11月 22日
山岸主計
「セーヌ河畔にて」木版画(30×37㎝)
制作年:1928年
山岸主計(やまぎし・かずえ)1891-1984年
山岸主計は長野県伊那市出身、木版画の彫り師として修業を積む傍ら西洋画の基礎も習得しました。
1913年から1916年まで新聞挿絵の彫りを担当、
1926年から欧米各国を旅行し風景版画を多数制作しました。
掲載の作品はこの時期にあたります。
東京国立近代美術館に1927年から1929年の作品が数点収蔵されています。
明治30年前後から昭和時代に描かれた木版画を新版画といいます。
明治、大正時代の新版画の作品は関東大震災でオリジナルの版木のほとんどが
焼失してしまいましたのでとても希少です。
第2次大戦前の昭和初期の作品も戦災で同様です。
これほどの希少な作品ですが見向きもされず忘れ去られたのか
地方の骨董店で埃まみれになって眠っていました。
新しい額とマットに入れ替え息を吹き返させました。
見事によみがえり大変うれしく思います。
80年前のセーヌ河畔、浪漫的な心をかきたてる上品な風景です。
(参考)
●長野県伊那市・伊那文化会館「山岸主計展」
2007年1月26日~2月18日
「絵を学び自分の絵を自分で彫って摺るという、
他の画家とも版画家とも違う独創的なところがある。
さまざまな側面から魅力のある作家である。」
(同企画展・学芸員 林 誠)
●東京国立近代美術館収蔵作品
「サボテンの花」木版画 28.4×36㎝ 制作:1927年
「雨のノートルダム寺院」木版画 28.4×36㎝ 制作:1928年
「リオン風景」木版画 28.4×36㎝ 制作:1929年